2019年に始まったGIGAスクール構想により、子どもたちの学ぶ環境や内容が大きく変化しました。皆さんのお子さん達も一人一台のPCが配布され、家で宿題をやったり、コロナ禍でのオンライン授業では画面越しに授業を受けたりしていたと思います。
さて、そもそもGIGAスクール構想とは何なのでしょうか。今回はGIGAスクール構想の目的や背景、なぜ教育現場にICT化が必要なのか、などをご説明したいと思います。
GIGAスクール構想とは
GIGAスクール構想とは、2019年に開始された、全国の児童・生徒1人に1台のコンピューターと高速ネットワークを整備する文部科学省の取り組みです。「GIGA」は「Global and Innovation Gateway for All(全ての児童・生徒のための世界につながる革新的な扉)」を意味する。
全国の子供に1人1台のパソコンと、高速インターネットを使えるようにしましょう、ということです。
(2021年3月末までに小中学生1人1台の教育用端末の整備がほぼ完了した状態となっています。)
GIGAスクール構想はなんとなくわかったけど、でもなぜ必要なの?なんのためにやるの?と思いませんか?
次に、GIGAスクール構想の目的と、できた背景をご説明します。
GIGAスクール構想の目的
GIGAスクール構想の目的は、子ども一人ひとりに最適な学習環境を整え子供の力を最大限に引き出すことです。
具体的には、児童生徒1人1台の学習用端末やクラウド活用を踏まえたネットワーク環境の整備を行い、個別最適化された教育の実現を目指します。
GIGAスクール構想の背景
2019年、日本では以下の課題に直面していました。
- 学校のICT環境整備状況は脆弱であるとともに、地域間での整備状況の格差が大きい危機的状況
- 学校の授業におけるデジタル機器の使用時間はOECD加盟国で最下位
- 学校外でのICT利用は、学習面ではOECD平均以下、学習外ではOECD加盟国の平均以上
GIGAスクール構想の背景にあるのは、日本のICT教育の遅れです。
先進国を中心に世界各国で教育のICT化が進む一方で、日本ではICT機器を活用した教育が全くと言っていいほど進んでいませんでした。
学校の授業でパソコンを使ったか?という質問では、日本はOECD加盟国の中で最下位。ほぼ使っていないというのが現状。世界から取り残されてしまいました。
また、国際学習到達度調査(PISA調査)での読解力低下が、大問題になりましたよね。あのテストはパソコンを使って回答することが前提のテストでした。
低下の理由はいくつかありますが、その一つとして、パソコンに慣れていない子ども達はうまく操作できなかったため解答できなかった可能性もあるのです。
危機的とも言える状況に対して、学校教育の情報化の推進に関する法律が全会一致で可決され、施行。2019年からGIGAスクール構想が始まりました。(法律を作らないとならないほどの状況だったわけですね。)
AIやIoTなどを日常的に使用する新しい時代を生きていく子どもたちは、ICTを使いこなせるスキルが不可欠なわけです。
GIGAスクール構想で期待できること
子供の一人ひとりに最適な学習環境
従来は生徒30人程度に対して教員が1人という構図でした。みんなで同じことをするので協調性を育むには有効かもしれませんが、生徒一人ひとりの理解度を把握できませんでした。
1人1台のパソコンを持つことで、授業についていけない子、逆に分かりきったことをやらされる子、それぞれの進み具合に合わせて教材を変えることができます。個人に最適化された学習環境を整えることができ、個人の能力をより伸ばす教育を進めることができるのです。
アクティブ・ラーニングの推進
アクティブ・ラーニングは、生徒が主体的に学習に参加する方法のことです。一斉学習では、手を上げた子しか発言できないので、本当は素晴らしいアイデアを持っていても、発表が苦手なだけで、埋もれてしまうケースもありました。
デジタルデバイスを通すことで、主体的に自分の意見やアイデアを伝えやすくなる効果があります。
先生が一方的に教えるという授業から、生徒と先生の双方向コミュニケーションができ、アクティブ・ラーニングを推進できます。
プログラミング教育への貢献
2020年を機に、小学校におけるプログラミング教育が必修化されました。全ての小学校でプログラミング学習が開始されました。GIGAスクール構想によって、パソコンに触れることやネットワークについての理解を進めることで、プログラミング教育へ貢献できるメリットも期待できます。
授業の幅が広がる
インターネットを使い、様々なことをその場で調べることができるので、疑問をその場で解決できます。文字だけでは理解しにくいことも図や写真を見ることでイメージがつきやすくなります。先生が大きな画面を使い、画像を見せたり、音を聞かせたり、文字を書いたりすることもできます。
クラスを飛び越えた授業も可能です。例えば、海外の子供たちと交流したり、大学の先生から授業を受けたり、様々な経験により、生徒が主体的に授業を受けるようになることも期待できます。
GIGAスクール構想は、過疎地や離島といった教育環境が整いにくい地域に居住する子どもにとっても、メリットは大きいです。
先生の働き方改革
例えば、従来では生徒の情報を共有する際はUSBを使い、手渡ししてパソコンに取り込むことが一般的でした。GIGAスクール構想では生徒のデータを電子的に収集でき、共有もクラウド上で行えるようになり、スムーズに情報共有や作業ができます。
その他にも、学習履歴がすべて残るため、授業の振り返りがしやすくなったという先生もいます。今までノートにまとめていたそうですが、ボタンひとつで生徒の成績を見られるのが便利だそう。
PCだけで完結できるようになると様々なところに散らばっていたデータを探す手間なんかもなくなりますし、その分、他のことをする時間ができ、業務を効率化し、働き方改革に繋がります。
まとめ
急速にICT化が進み、子供たちはそれがあって当たり前の世の中で生きていきます。世界から見ると日本のICT化はかなり遅れをとっており、急ピッチに進められています。
世界中の子どもたちがインターネットを使い、新しい知識を増やしたり学びを深めているのです。学びのスピードは段違いです。
GIGAスクール構想により新しい学びによって育った子どもたちの10数年後がとても楽しみです。
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